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女流歌人-河野裕子さんのこと

        塩辛トンボ雄

8月13日の早朝に撮った、塩辛蜻蛉です。これは雄ですね。


迎え火、盆提灯、御霊御膳、精霊送り、・・・今年のお盆も終わりました。

娘は出勤、息子夫妻も帰って行って、普通の暑い夏の日に戻りました。

この間、私の心の中ではもう一つの精霊送りが続いています。


それは、13日の朝刊のある記事を読んだことから始まりました。

  「河野裕子さん(かわの・ゆうこ、本名永田裕子=ながた・ゆうこ=歌人)12日午後8時7分、
   乳がんのため京都市の自宅で死去、64歳。・・・」

思わず「えッ、 ぇ~ 」と声を出してしまいました。
だって、今年の 歌会始 の放映で、お姿を拝見し、
(ああ、お元気で御活躍なんだ。よかった!)と確認したんですもの。癌だと発表されてから、
「NHK歌壇」の選者や、講評者として活躍されるお姿を見なくなってもう10年になります。

今年の正月、たまたま録画した選者としての映像をビデオから探し出して見ました。

「そんな・・・、この時は、再発していたのですね」

河野裕子 お隣には夫君で歌人の永田和宏(かずひろ)氏のお顔がありました。

同じく選者ですが、「選者の御歌」は裕子さんの

白梅に 光さし添ひ すぎゆきし 歳月の中にも 咲ける白梅  でした。

「庭の白梅に 来し方 行く末の思いをめぐらして詠む」と、詞書のような解説が入っています。

現代女流歌人の河野裕子さんは、みずみずしい恋愛歌人として出発し、出産、育児といった
女性性を題材に、肯定的で生命感あふれる歌を作ってきた人です。


たとへば君 ガサッと落葉すくふやうに私をさらつて行つてはくれぬか (『森のやうに獣のやうに』昭和47)

まがなしくいのち二つとなりし身を泉のごとき夜の湯に浸す (『ひるがほ』昭和51)

しんしんとひとすぢ続く蝉のこゑ産みたる後の薄明に聴こゆ (『ひるがほ』昭和51)

こんな短歌が、私の心に響いて 残りました。


50年間、短歌を詠んできましたが、短歌という詩型の奥行きと深さが少しは分かりかけてきたような気がします。5、7、5、7、7というたった31文字の世界ですが、鋭く深く人のこころに入ってくるのはなぜなんでしょうね。韻律が意味を越えて訴えてくるからなんでしょう。
 千数百年もの歴史を持つ詩型は世界でも類例を見ないと思います。どの新聞にも短歌や俳句の欄があって、誰でも投稿できますが、このような国民が皆詩人になれるということも、やはり世界中見渡しても無いのではないでしょうか。
 この頃、特に感じるのですが、日本語が軽く薄っぺらなものになってきたように思います。書きことばも話しことばも。それが読む力を弱めてしまっているのではないか。短歌のような定型詩では、文語を使い、てにをは、つまり助詞や助動詞をたいせつにして作ります。そして、てにをはを丁寧に読めなければ歌は読めないところがあります。


こんな言葉が残っていて(「立命館大学の公開講座」より)

 若やかな乳房とともに喪ひし時間はまたの生を生き来し時間

 最新歌集『葦舟』の中から引いてみました。病気にならなかったなら、わたしにはまた違った時間や人生があっただろうという思い。一度きりの人生、最後まで歌を作り続けることができればと思っております。


と結ばれていました。

合掌



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Re: No title

そうだったんですか。「今頃は・・」なんてうらやましく思っていたのですが。でも、
イギリスは消えるわけじゃないから、楽しみは又の機会までとっておくということでね。

こんな暑さ、9月まで続くのでしょうか。困ったものだわね。


プロフィール

Keiko

Author:Keiko
写真:【 唱歌:「案山子」の立つ見沼氷川公園】

こんにちは! 日本古典文学
研究に従事しているものです。
子育てがほぼ終了という頃に
大学院に入学、現在は 古典
文学講座の講師をしています。

こちらには 自然と文化と歴史
を感じながら‘知るを楽しむ’
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