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再び芭蕉の足跡を辿ってみようと・・・

18日の日曜日のことです。

梅雨も明けて、猛暑になるとの予報でしたので那須高原の方にドライブがてら、
再び 芭蕉「奥の細道」ゆかりの地を訪ねることにしました。

今回は、「室の八島」から黒羽へ。「遊行柳」と大雄寺の近くにある「芭蕉の館」「雲巌寺」そして「白河の関跡」を目指します。

IMG_0002.jpg


実は、これらの場所は以前に2、3回訪れていて、写真も沢山撮っているはずなのですが、

「あれって、いつ頃だったかしら。一番近い時で、もう10年ぐらい前?」
「二人でも行ってるけど、子ども達が一緒だった時があるような。その前に一人で行ってるよなぁ~」

といった調子で、情けないかな鮮やかに甦る場面も確かにあり、互いに記憶が一致するところもあるのですが、

「えー、そうだったっけ?」と、定かでないところもあって、
「よし!行ってみよう」ということになりました。

こちら方面に出掛けることの多い夫は、何の案内書も持たずに車に乗って
「僕に、任せておきなさい」と強気だったのですが、

先ず最初の目的地「室の八島」がみつかりません。

「おかしいな、このあたりの神社の境内にあったんだよ。裏の駐車場に車を止めたよね」

栃木県の「小山」から「鹿沼」の間なのですが、道路もバイパスなど、新しくなっているところもあって、
あたりの景観も変わっているのでしょう。

ましてや「室の八島」は観光地としての扱いは出来ないと思います。だって、な~んにもないのですから。

「『奥の細道』に出てくるんだよ。有名な歌枕だよ。標示くらいあってもいいだろう!」
見つからなくてイライラし始めたドライバーに、

「ここ、近いから又の機会にしようよ。ちゃんと地図で探してからにしないと、時間なくなるわよ。写真は確か前に撮ったものがあるから」と提案。
途中で分かりやすい「栃木県道路地図」を買ったのですが、「室の八島」の記はないですね。

芭蕉が日光街道からはずれて三里の道を余分に歩いたのは、芭蕉が歌枕の地の巡礼を志したからです。
「むろのやしま」が歌枕(伝統的に和歌によく詠まれた土地や地名)になったのは室の八島明神に祀られた木花開耶姫(このはなさくやひめ)の神話によって、「煙立つ」の歌枕になったというものです。

木花開耶姫(このはなさくやひめ)は夫の天孫に懐妊のことを疑われたので、四方を壁で塗り固めた家にはいって火を放ち、本当に天孫の子ならば火にも焼けないだろうといって中でお産をしました。そうして生まれたのが彦火々出見尊(ひこほほでみのみこと)です。

和歌には沢山詠まれた歌枕の地ですが、遺跡のように形あるものが残っているわけではありません。芭蕉が室の八島では何も吟じなかったのは、もしかしたら場所としても期待はずれだったのかも知れませんね。少なくとも精神が高揚することはなかったと思われます。

鹿沼から東北自動車道に入ります。一気に白河まで行って「白河関所跡」→「遊行柳」→「殺生石」→「雲巌寺」

→「那須の黒ばね・芭蕉の館」 と、芭蕉の足跡を、逆コースで辿ります。

「白河関所跡」

白河関跡
中にも此関は三関の一にして、風さうの人、こころをとどむ。秋かぜを耳に残し、もみじを俤にして、青葉の梢猶あはれ也。
(数多い関の中でも、この関は三関の一つにあげられ、風雅に志す人々の関心が向けられている。能因法師の「都をば霞とともに立ちしかど秋風ぞ吹く白川の関」の歌の「秋風」の響きや、頼政の「都にはまだ青葉にて見しかども紅葉散りしく白河の関」の歌の「紅葉」を思い浮かべながら、今は秋ではないから、青葉の梢を仰ぎ見るのだが、この青葉の梢のさまも、やはり深い趣がある)

白河神社境内の古関蹟碑
古関跡の碑
白河藩主松平定信が寛政十二年(1800年)八月、ここが白河関跡であることを断定し、建立した碑であるとの説明があります。

白河神社の中に几帳と御簾(みす)を見つけて、写真を撮らせていただいたのですが、

写真を撮ろうと
撮っている私の姿が映ってしまてダメでした。中には このような几帳と、み簾が並べられています。

几帳 み簾

御簾は、神社や仏閣などの高貴な場所に掛けられ、神聖な領域と俗界との結界を示すものです。
中まで入ろうとしたわけではないので、どうぞご無礼をお許し下さい。

          参拝の法
                参拝の法に従ってお許しを請いました。



「遊行柳」

  遊行柳(ゆぎょうやなぎ)とする柳の木の見える景色は、懐かしくて、しばし遠景を楽しみ、そして田の中の  畦道を歩いて柳の木の下の碑のあるところに行ってみました。

   柳遠景

又、清水流るるの柳は、芦野の里にありて、田の畔にのこる。此所の郡守戸部某の、「此の柳見せばや」など、折々にのたまひきこえ給ふを、「いづくのほどにや」とおもひしを、けふこの柳のかげにこそ立寄侍りつれ。

田一枚 植えて立ち去る 柳かな

(これが西行の立ち寄った柳かと、感慨にふけっていると、目の前の田では人々が田植えに励み、私がぼんやり感慨にふけっている間に、いつの間にか一枚の田を植えて立ち去ってしまった。私もまた物思いから覚めて現実にもどり、柳の陰を立ち去ったことである)


             雨蛙を二匹見つけて下さい。

              柳に蛙

あぜ道にも、ここにも小さな雨蛙がぴょんぴょん跳ねて出てきます。



              続く 

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田一枚 植えて立ち去る 柳かな

立ち去るのは農民と松尾芭蕉というお考えのようですが、私には立ち去るのは、田一枚植えるくらいの間柳陰に佇んでいたであろう西行と考えるのがピッタリします。

室の八島に対する栃木市当局の認識

「室の八島は有名な歌枕だよ。標示くらいあってもいいだろう!」

全くそのとおりです。栃木市は何を考えているんだ。


実は栃木市当局は、室の八島がどこなのか自信がないんです。
以前の栃木市のホームページでは室の八島の場所を次のように案内してました。

要約すれば、「室の八島とは神社であり(根拠は[奥の細道])、かつ神社と関係ないこの地である(根拠は[下野国誌])」と。

室の八島は期待はずれだったのか

そうではありません。

糸遊に結びつきたる煙哉 松尾芭蕉

つまり糸遊の立たないこんな鎮守の森は室の八島じゃないだろうと考えていたのです。

糸遊に結びつきたる煙哉

意味:かの有名な名所・室の八島も今では煙の代わりに糸遊(陽炎)が立つような田園地帯に変わってしまったのだなあ。
これが当時の江戸の町の人達の代表的な室の八島のイメージです。

惣社河岸辺りから室の八島大明神まで来る間、付近の田園地帯の風景を眺めながら詠んだ俳句です。

田園地帯に変わる前の室の八島は何だったのか?って。
芭蕉がどう考えていたかはわかりませんが、江戸の町の人達は「かつて栄えた室の八島の町」と考えていました。

池の室の八島と神社の室の八島

栃木市の大神神社は、境内にある八つの小島のある池(小島にある小祠は含みません)を通説室の八島であると案内してますが、

松尾芭蕉の[奥の細道]では、この神社の祭神・木花咲耶姫の無戸室の故事の舞台となった境内一帯を室の八島として、無戸室の故事に出て来ない池は室の八島と無関係としています。

芦野をとおる街道

西行が陸奥歴訪に際して芦野を通過した可能性は低いです。なぜなら芦野を通る街道はその後に開通したんですから。

つまり西行が芦野に立ち寄ったという話は、芦野を通る街道が開通した後、具体的には江戸時代に作られたものです。江戸時代より前にそんな話はありません。

兼載の松

芦野といったら「兼載の松」です。こちらは史実です。芦野の殿様が宣伝したお陰で、江戸時代には結構知られていたようです。


芦野の柳についても「此所の郡守戸部某の、「此の柳見せばや」など、折々にのたまひきこえ給ふ」(奥の細道)と、かなり宣伝していたようです。

Re: 歌枕「室の八島」

伊吹山の男 様

いろいろお教えいただき、ありがとうございました。実は「室の八島」についての認識について、先月でしたか「室の八島の地元の人間」とおっしゃるかたからもご指摘を受けました。
遊行柳の句には西行の姿を重ねているとの読みは、<『奥の細道』の序文にみる芭蕉の西行への想い>からしてあながち深読みとはいえず、なるほどと思われました。

それにしましても、この記事は2年前のものなのですが、今年になって多くのメールやコメントをいただくのは?とちょっと首を傾げております。
プロフィール

Keiko

Author:Keiko
写真:【 唱歌:「案山子」の立つ見沼氷川公園】

こんにちは! 日本古典文学
研究に従事しているものです。
子育てがほぼ終了という頃に
大学院に入学、現在は 古典
文学講座の講師をしています。

こちらには 自然と文化と歴史
を感じながら‘知るを楽しむ’
日常を記しています。         
     

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