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「きりぎりす」 は 「こおろぎ」


大気の不安定な状態が続きました。竜巻による被害や、雷を伴った激しい大雨に
襲われて、しばらく秋の虫たちも息をひそめていたのですが、

今夜は静かな夜、盛んに秋の虫の声が聞こえてきます。

「百人一首」の91番
きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む
                後京極摂政前太政大臣 [『新古今集』秋下] 

おろぎが鳴いているよ。霜のおりた夜の寒々としたむしろに、私は着物の片袖を
 敷いて、一人寂しく寝るのであろうかなあ。


この歌は秋でも晩秋の寒い夜のことですけれど、虫の音が、一人ぼっちで寝る寂しさ
を一層しみじみと感じさせています。

「さむしろ」とは「むしろ」で、藁や菅などで編んだ粗末な敷物。「衣かたしき」と
いうので、片方のそでだけを敷いての一人寝。そこに「きりぎりす」が鳴いています。

ところで、この「きりぎりす」というのは、「こおろぎ」のことなんですよね。


きりぎりすとこおろぎ



中古、中世には、現在の「こおろぎ」を「きりぎりす」と呼びました。

では、現在の「きりぎりす」が何と呼ばれていたかと言いますと「はたおり」。
その鳴き声が‘機織り’の音に似ていることからついた名だそうです。

もっと以前の『万葉集』にある歌にも、

夕月夜 心もしのに 白露の 置くこの庭に こほろぎ鳴くも  湯原王
(夕月夜には胸がせつなくなるばかりにこおろぎが鳴いているよ白露の置くこの庭に)

  「こほろぎ」は、秋を代表する虫として 歌に詠まれていました。



            今年の十五夜は9月19日。

中秋の名月を見ながら虫たちの声を聞く。そんな静かな夜であって欲しいものです。


                            01SEP10A.jpg


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Keiko

Author:Keiko
写真:【 唱歌:「案山子」の立つ見沼氷川公園】

こんにちは! 日本古典文学
研究に従事しているものです。
子育てがほぼ終了という頃に
大学院に入学、現在は 古典
文学講座の講師をしています。

こちらには 自然と文化と歴史
を感じながら‘知るを楽しむ’
日常を記しています。         
     

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