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ゆきひら鍋 と 百人一首 16番の歌

風邪をひいて、熱が出たときに、お粥が食べたいと思った。小さな土鍋でコトコト煮る
お粥が一番美味しいと思う。しかし、土鍋では、吹きこぼれそうな時に蓋をちょっとず
らして、途中火加減を調節しながら炊かないといけない。大儀なので、寝ている間に炊
けてしまう炊飯器の「おかゆコース」で炊いておくことにした。

確かに、柔らかいお粥が出来上がってはいたけれど糊のような粘りが出てどうもよろし
くない。冷めたご飯をさっと水で洗った後、水をたっぷり入れてコトコト煮たお粥が好
み。それには、やはり土鍋の ゆきひら鍋 が一番だと思った。あれならば、多分ふつう
の 土鍋 と違って、吹きこぼれる心配もないことだろうし。

       yukihiranabe.jpg そう! これが ゆきひら鍋





その後、

ホームセンターなどの台所用品売り場で気をつけて探してみると、こんな鍋があった。

   ゆきひら鍋

  ゆきひら鍋 は 雪平鍋 とも 行平鍋 とも 書かれるそうだ。


「ゆきひら鍋」は取っ手と蓋がついていて、注ぎ口がある平たいお鍋。陶器のもの
も、金属製のもある。今は金属製の鍋が主流になっているのかも知れない。こちら
の平鍋は蓋が別売りになっていた。

これらの鍋を「ゆきひら鍋」というのは、「百人一首」16番に採られている歌の作
者である 中納言行平(在原行平・ありわらのゆきひら)に ちなんでいる。



16 立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む
                     中納言行平 [『古今集』別離(三六五)]

歌意
 ここで今、あなたと別れて、因幡の国へ下って行くとしても、その因幡の山
の峰に生えている松という名のように、あなたが私を待っていると聞いたなら、
すぐに帰京するつもりです。



行平の父は阿保親王であったが、父が政変に連座したことで臣籍にくだっている。
16番の歌は因幡の守(かみ)になって赴任する時に宴会でつくった歌だという。

この行平がある時 なにかの事件にかかわったことで、須磨(兵庫県神戸市)へ
引きこもることとなった。

この時の話として、行平が須磨に身を引いてわびしい暮らしをしていた時に松風、
村雨という姉妹を愛したということになっていて、これが能の「松風」という作品
になって伝わったという。「松風」には<たち別れ>の歌もとり入れられた。


平鍋(ひらなべ)は海水を煮て、塩をつくっていたときの道具だ。海水で塩をつくって
いたのは須磨。 須磨とくれば 中納言 行平。その関連で、平鍋を ゆきひら鍋
言うようになったということである。




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プロフィール

Keiko

Author:Keiko
写真:【 唱歌:「案山子」の立つ見沼氷川公園】

こんにちは! 日本古典文学
研究に従事しているものです。
子育てがほぼ終了という頃に
大学院に入学、現在は 古典
文学講座の講師をしています。

こちらには 自然と文化と歴史
を感じながら‘知るを楽しむ’
日常を記しています。         
     

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