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箱根八里 と 函谷関 と

   箱根関所跡

    箱根の関所跡にやってきました。小高い丘にある「遠見番所」からの写真です。


江戸時代(1619年)、徳川秀忠の命により置かれ、明治2年までの間、江戸幕府防衛
              の拠点とした箱根関所です。


この場所は、それまでの東海道に新たな新道(「箱根八里」)を設けたうえで関所を置い
ているので、江戸時代以前の、東海道を旅する者はこの新道は通ってはいないことになり
ます。

なので、『とはずがたり』の二条さんは、この場所は通っていないことになりますね。

また、最初は箱根神社の側に関所を置いたところ、地元(元箱根)住民との対立を惹き
起こしたために箱根峠寄りに「箱根宿」をつくり、元箱根側の芦ノ湖畔に「箱根関所」
を設置したということのようです。

箱根八里」とは、小田原から箱根までの四里と、箱根から三島までの四里、合わせて
八里なので、小田原から三島までを いうことになるのでしょう。

箱根八里』といえば、   作詞:鳥居忱、作曲:瀧 廉太郎(滝 廉太郎)日本の唱歌が
ありますが、ご存じでしょうか。

1901年(明治34年)発行の「中学唱歌」に掲載された歌だそうです。私もどこで覚えた
のか定かではないのですが、子供のころに聞いた記憶があります。なんとなく真似て歌っ
てはいたのですが、意味不明のままでした。

歌詞に李白の漢詩、中国の故事や古典に由来する事項が盛り込まれていて、
「ああ、そういうことだったのか」と正しく理解できたのは、やはり中学生だったかな、
                   いえ高校になってからだったかも知れません。


箱根八里   作詞:鳥居 忱、作曲:滝 廉太郎

箱根の山は、天下の嶮
函谷關(かんこくかん)も ものならず
萬丈の山、千仞(せんじん)の谷
前に聳(そび)え、後方(しりへ)に支(ささ)ふ
雲は山を巡り、霧は谷を閉ざす
昼猶闇(ひるなほくら)き杉の並木

・・・(後略)・・・



この歌詞に登場する「函谷関(かんこくかん)」とは、中国の長安と洛陽の間、長安
のある漢中の地への入り口を扼(やく)する関所を指します。

箱根八里の険しい様子が「函谷関」以上だというのは誇張表現でしょうが、とはいえ、
旅人にとっては相当な難所だったと想像されますね。


この「箱根八里」の歌碑が、箱根の芦ノ湖湖畔にある「県立恩賜箱根公園」の駐車場
の脇に立っています。

近くには東海道の旧道があって、歌詞に描かれる「昼なお暗い」杉並木の道が続いて
いました。


さて、『百人一首』にある清少納言の歌に、

夜をこめて 鳥のそら音は はかるとも よに逢坂の 関はゆるさじ

というものがありますが、この歌
上の句に中国『史記』の故事「函谷関の関所の話」が引き合いに出されているのです。
下の句には「逢坂の関所」。逢坂は男女の逢瀬を掛けていますので、

その歌意は
夜の明けないうちに、鶏の鳴き真似をして、函谷関はだませたとしても、逢坂の関は
そうはいきません。私はけっして逢いませんよ
)。

清少納言が生きた平安時代にはまだ この「箱根の関所」なるものはなく、従って‘函谷
関もものならず♪’の「箱根八里」と例えられることもなかったのではありますが、箱根
の関所跡に来て「函谷関」の連想から、清少納言の歌を想い浮かべた次第です。

ただし、この歌、才知豊かで機転の利く清少納言と多芸多才な藤原行成(50 首目の作者
義孝の息)のやり取りから詠まれたもの。

その状況を想うと 更におもしろい歌と感じることでしょうね。


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プロフィール

Keiko

Author:Keiko
写真:【 唱歌:「案山子」の立つ見沼氷川公園】

こんにちは! 日本古典文学
研究に従事しているものです。
子育てがほぼ終了という頃に
大学院に入学、現在は 古典
文学講座の講師をしています。

こちらには 自然と文化と歴史
を感じながら‘知るを楽しむ’
日常を記しています。         
     

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