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梨の花 と <清少納言>

いよいよ 梨の白い花 が咲き出していますね。一昨日も、白岡(埼玉県)あたりを
走っていると梨棚に白い花が噴き出すように付いているのが目に入ってきたので、

車を路肩に寄せて写真に納めました。            14TOW07A_20120418163927.jpg


梨の花アップ          


花の咲き具合は、梨の種類にもよるのでしょうけれど、この場所が他より大きな花を
いっぱいにつけて華やかでした。

梨の花全体


梨の実の収穫のための平棚に沿わされた梨の木は、自然とは相反する形に矯正されて
いて、鶏ならばゲージに入れてずらりと並べられているといった状態でしょうか。

花をめでる風景とは ちょっとかけ離れてはいるのですが・・・。


梨の花のゲージ

日本では昔から梨の花の美しさを愛でたり、花に心を寄せて歌に詠むということは
なかったようです。

ところが、中国の古典には、いくら褒めても褒めきれない花として、詩文に表現され、
かの美人の誉れ高かった楊貴妃の様子を擬えるのに「梨花一枝、春、雨を帯びたり」
と記されているんですよね。(『長恨歌(ちょうごんか)』に)


枕草子』の「木の花は、」で始まる章段に、このような梨の花について書かれ、
花を観察した様子が叙述されているのをみて、私は初めて「梨の花」ってどんな花
なのか、是非見てみたいものだと興味を思ったものです。

私の育った土地には、その頃梨の木を植えている家もなく、他の所でもよくよく観察
できるという機会もなくて、いつか忘れていたのですが、梨園が各所にある当県に住む
ようになってからは、丁度 桜が終わるころから咲き出す梨の花を、毎年見るのが楽しみ
になりました。


今から約一千年前、平安時代の女性である清少納言(せいしょうなごん)が梨の花に
ついて語るその言葉が、今もそのままに聞こえてくるようです。

花一輪一輪は当時と違う種類であったりして花の様子は違ったのだろうけれど ― 、
とは思いながらも。


P4110003.jpg
                        07WED05A.jpg




枕草子』- 木の花は -     

梨の花は、全く味気ないものだから 身近に見るなんてこともしないで、ちょっと
した手紙を結んで届けるための花の枝にして使うことすらしない。

ちょっと可愛らしさに欠ける人の顔を見て、その譬えに梨の花を引くのも「まあ
無理もない」と思うくらいだ。

葉の色をはじめとしてその花もどこかちょっとつまらないものだと思われるのに、
唐の国(中国)では、いくら褒めても褒めきれない花として、詩文にも書き留め
られている。

つまらない花だと思っても、やはり唐の国でそんなにもてはやされるのは、それだけ
のことはあるのだろうと思って、近づいてよく観察してみると、花弁の先端に綺麗な
赤味がかすかに、ほんのりついているようだ。

玄宗皇帝のお使いを迎えて泣いた、楊貴妃の顔を擬えて「梨花一枝、春、雨を帯びたり」
と表現されているのは、やはり楊貴妃が美人の誉れ高かっただけに、梨の花はかの国に
おいて、その美しさを並み一通りのものではなく大変素晴らしいと評価されていたことが
分かり、他とは比較にならない程であったのだろうと思われる。 <清少納言>(Keiko 私訳)

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No title

梨の花を中国では愛でる習慣があるのに、日本にはない。 そういえばそうなのに、今まで意識していませんでした。 それなのに清少納言はちゃんと触れていた。 すごいですね。 古典を読むことで、現在の生活の中に新しい発見があり、新しい興味が湧いてくる。 今までの私にはなかった体験です。 これから授業を受けさせていただくのが楽しみです。」とのメールをいただきました。
拍手コメントからでしたので、表示されませんでしたが、このブログでお伝えしたい私の思いをしっかりキャッチしていただいているのが嬉しくて、出させていただきました。「天皇に愛された女の物語ー『とはずかたり』ー」を今年度から受講されるかたです。ご期待に添えるような講座にすべく、頑張りますので、よろしくお願いいたします。e-101

No title

夫の転勤で新潟に5年おりました。ちょうどそのとき農家の人の手ほどき?を受けて「梨の花の花粉付け」作業を経験しました。1つ1つ枝を選んで、腰が痛くなるまで、首が痛くなるまで低い姿勢で頑張りました。梨の実がつくってこういう地道な作業のおかげなんだと知りました。
そんな現実とは違った美しい「梨の花物語」素敵でした。

Re: No title

ありがとうございます。農家では実を成らせることを目的に育てているのですから、
花の観賞が二の次になって当たり前ですよね。それこそ「花より団子」ですから。
自然に育っている木の花の好みが、日本では梅や桜、唐の国では梨の花だったという
のもなんとなく感覚的に納得できるかな、と思ったりして眺めています。
プロフィール

Keiko

Author:Keiko
写真:【 唱歌:「案山子」の立つ見沼氷川公園】

こんにちは! 日本古典文学
研究に従事しているものです。
子育てがほぼ終了という頃に
大学院に入学、現在は 古典
文学講座の講師をしています。

こちらには 自然と文化と歴史
を感じながら‘知るを楽しむ’
日常を記しています。         
     

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