にほんブログ村 本ブログ 古典文学へ
にほんブログ村

黄モッコウ薔薇と山吹の花

薔薇では開花の一番早い、黄色のモッコウバラが壁面を覆いはじめました。

黄もっこう

前を通った若い方が、「これ、山吹ですか・・・??」

なるほど、八重山吹の花と似てますね!

4月15日八重山吹
黄色の濃さが違うのですが・・・

でも、“山吹の花”といえば、もともとは「一重の花」だったのでは?
この季節に山に自生する「一重山吹の花」は、可憐で、淋しげですが、風情があるものです。
「八重咲き山吹」はちょっと華やか、可愛い花なのですけれど・・・園芸種のようで・・・。

埼玉の越生(おごせ)町にある“山吹の里”では、丁度今 山吹の花が見頃だとのニュース
がありました。「山吹伝説」の伝承地の一つ。復元された水車小屋や山吹が多く植えられた
歴史公園です。

yamabuki000.jpg

越生町は太田道灌(江戸城や川越城、岩槻城などの築城で有名)ゆかりの地です。

室町時代の武将太田道灌が、鷹狩りの途中 にわか雨にあい、近くの農家に寄って蓑(雨具)を
求めました。家から出てきた若い女性が何も申し上げず、一枝のヤマブキを差し出したといいます。

七重八重 花は咲けども 山吹の みのひとつだに なきぞ悲しき

山吹を差し出された道灌にはその意味が分かりませんでした。
“みの”は「実の」と「蓑」を掛けた言葉だったのですが、その時の彼には理解できなかったのです。

この古歌は、実は『後拾遺和歌集』(1086年)にみられる兼明親王(醍醐天皇の皇子)の歌です。

ななへやへ はなはさけども 山ふきの みのひとつだに なきぞあやしき

で、5句めは 「かなしき」ではなくて「あやしき」となっています。

『雲玉集』(1514年)にも平安時代のこの歌が採られていますが、やはり「あやしき」で、もとの歌は「あやしき」だったようです。

古語の「あやし」とは、ここでは「不思議だ」という意味でしょう。
「小倉の山荘で、参上した御ともの者たちが帰る時に雨なので蓑をお借りしたいと申し出たときに、
 山吹を出されて、」という詞書(ことばがき)があります。
こんなに盛んに咲いている山吹の花だけれど、この花は実を全くつけないのは不思議なことだ」の意となります。



太田道灌の「山吹伝説」は、江戸時代の武将論『常山紀談』(じょうざんきだん)に書かれた
エピソードですが、農家の若い娘はこの古歌で、突然現れた訪問者の所望に答えたと伝えます。
「ヤマブキを差し出された道灌はその意味が分からなかったことを恥じ、以後いっそう勉学に励んだ」
というものです。

貧しい農家の娘は、「蓑」さえなくてお貸し出来ないことを「悲し」としたことになります。
その意味が分からず憤慨した武将太田道灌、
「ヤマブキの一枝」のわけを知って 恥じ入るさまが目にみえるようなお話です。

問題になるのは「七重八重」なのですが・・・私はこう解釈しています。

八重咲きの山吹 というのではなくて、山里に自生する 一重山吹 の花なのですが、
「七重八重・・」というのは、七重、とか八重という言葉に「数多く重なっている」という意味があることから、
数多く重なるように咲く山吹の花 こんなに花は咲くのに 実は一つもつけない山吹の花
ということではないでしょうか。

一重山吹は、数年おきに結実するそうですが、
結実しないという八重山吹は、自然には滅多に見ない花です。・・・それに、


雨の中、山吹の里の とある農家に雨宿りをした勇壮な武将の所望に、貧しくとも賢そうな少女は黙して
そっと一輪のヤマブキをさしだす・・そんな情景にあうのは“八重山吹”ではなくて、
一重のあの清楚な“一重山吹”だからです。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

Keiko

Author:Keiko
写真:【 唱歌:「案山子」の立つ見沼氷川公園】

こんにちは! 日本古典文学
研究に従事しているものです。
子育てがほぼ終了という頃に
大学院に入学、現在は 古典
文学講座の講師をしています。

こちらには 自然と文化と歴史
を感じながら‘知るを楽しむ’
日常を記しています。         
     

カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
私へのメールはこちらから

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
カテゴリ
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
日本ブログ村 ランキング
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR