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桜の木

春の日のうららの中、エルを先頭に歩いていると、

「〇〇さん、桜まだ残ってますよ。是非帰りに見ていってくださいね」
霊園を管理し、お世話くださっているおじさんに声をかけられた。

えっ??? 「あっ、はい、そうですね・・・」あいまいな返事を返した。



見沼田んぼの端、高台に位置するこの霊園から見える桜はもう盛りを過ぎている。
それに、園内に桜の木があったかしら。「〇〇さんの桜」と言われたような気もする。

花を供え、夫が線香の束に火をゆきわたらせようと時間をとっている間に おじさんが
指した方向へ行ってみたけれど、アカメガシワの生け垣の間に植えられているのは

また少し背を伸ばしたハナミズキの木だった。あとは葉を繁らせ始めた薔薇の木々。

「桜の木、あった?」
「いいえ、あちらにはない。外周の外側に数本、大きくない木がみえるけれど」


そこで、一旦外に出た後 駐車場と反対側に歩いて、桜の木の方へ歩く。
エルはいつもの散歩の気分だ。尾を揺らして先を行く。

   たかの桜

「これ? この木のこと? 確かに 少し咲き残っているわね」


おい、ここ見てごらん!

   プレート

日付は、確かに、私たちが この霊園に新たなお墓を求めた年だ。

でも、私たちには その時の、桜の木をお願いした記憶が 全く喪失してしまっている。

確かに、ここに 我が家の桜の木が育っているのだ。



言葉にはならない感情で胸がいっぱいになって、しばらく桜の木の下に佇んでいた。


「家に桜の木を植えるようなスペースはないから、良かったじゃないか。見沼の桜並木に
続いていて、いい場所だ。これからは、ここへ桜見に来なくっちゃね」

「何か、狐につままれてるみたい。私たちがこの世を去った後も、ず~と咲くんだね」

春の風が 肌に心地よい。

この木を 私は ひそかに‘たかの桜’と名付けることにした。




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プロフィール

Keiko

Author:Keiko
写真:【 唱歌:「案山子」の立つ見沼氷川公園】

こんにちは! 日本古典文学
研究に従事しているものです。
子育てがほぼ終了という頃に
大学院に入学、現在は 古典
文学講座の講師をしています。

こちらには 自然と文化と歴史
を感じながら‘知るを楽しむ’
日常を記しています。         
     

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