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百人一首 の 「八重むぐら」とは

前回の「初めて学ぶ 百人一首 の世界」講座で次の和歌を鑑賞しましたが、

八重むぐら しげれる宿の さびしきに 人こそ見えね 秋は来にけり   恵慶法師(えぎょうほうし)
<葎が生い茂って雑草がはびこっているこの寂しい家には、
      人はだれひとりとして訪れてこないけれども、秋だけはやってきたことだなぁ>

「この葎(ムグラ)ってご存じですか? 丁度、今秋ですので よく見ますよね!」

「ああ、分かりますよ! 蔓草で あの茎のところに小さな棘、棘があるアレですよね 

(さすがです。生徒や学生相手の場合はこうはいかないいんですよ )

何人か うなずく方もいらっしゃいました。
この歌の場合は、ヤエ<八重>、いくつも重なって生えているつる性の雑草をいうものです。


<ムグラ>という植物名にこだわると、コレかと思うんですよね。
ムグラ 茎に小さな棘が生えているムグラです。


私も、かつて「ああ、この雑草が庭に生い茂っている風景なんだ」と想像していた時がありました。
でも、このムグラは 春 なんです。


そこで、今日は近所にある - 沢山生えている コレを朝採りで持参しました。
  近所のカナムグラ    見沼のカナムグラ
近所の倉庫の塀を這うカナムグラ     見沼田んぼで撮った雑草カナムグラ


秋におどろおどろしく茂っているのは<カナムグラ>というコレなんです。
荒れ果てて人の訪れもなくなった家はひっそりと静まりかえって、秋だけがやってきたというのですから。


やはり、前の<ムグラ>の方だと思っていた方もいらっしゃって、
「なるほど・・」ということになり、  スッキリ です 

47番のこの和歌は『拾遺和歌集』にあり、その詞書(ことばがき)には
「河原院にて荒れたる宿に秋来るといふこころを人々よみ侍りけるに」とあります。

河原の院というのは河原左大臣、源融(みなもとのとおる)の別荘でした。
この人は嵯峨天皇の皇子でしたが、臣籍(皇族以外の身分)にくだって源になっています。

8世紀のことですが、鴨川の西につくられたこの「河原院」は豪奢な庭で有名でした。
陸奥の歌枕、塩釜(宮城県)の景色をそのままうつし、毎月大阪の海から海水を運ばせ、
塩焼きをまねてたのしんだということです。

とんでもないぜいたくだと世間の評判になりましたが、融の死後、河原の院はあれはて、
鬼が出たり幽霊が出るといううわさがたったところです。


この和歌の作者である恵慶法師は、融の子孫である僧の友人でした。
しかし、この歌自体は、寂しくも美しく悲哀の季節としての秋が歌われています。



おなじ植物でも、恋の歌ですと「さねかづら」が詠み込まれていて、

名にしおはば 逢坂山の さねかづら 人にしられで くるよしもがな 三条右大臣
<逢って寝るという名を持っているというのならば 逢坂山のさねかずら、
たぐれば来るように、誰にも知られずにあなたを連れ出す手だてがほしいよ>

さねかづら  淡い色の可愛い花が咲き、実は輝く赤です。 



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プロフィール

Keiko

Author:Keiko
写真:【 唱歌:「案山子」の立つ見沼氷川公園】

こんにちは! 日本古典文学
研究に従事しているものです。
子育てがほぼ終了という頃に
大学院に入学、現在は 古典
文学講座の講師をしています。

こちらには 自然と文化と歴史
を感じながら‘知るを楽しむ’
日常を記しています。         
     

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